食塩が水に溶けて食塩水になるように、液体中に他の物質が混合して均一に拡散する現象を溶解という。液体に溶かされる物質(気体、液体、固体)を溶質といい、他の物質を溶かす液体を溶媒、溶解によって生じる混合物を溶液という。溶媒が水である溶液を特に水溶液という。
濃度
混合物中の成分の割合を表す量を濃度という。溶液においては、溶液中の溶質の割合をいう。狭義には混合物の単位体積あたりで測られる量を濃度と呼ぶが、分率(同じ種類の物理量に関する、混合物に対する成分の比)や、混合物中の注目する成分以外の部分(溶液で言えば溶媒など)に対する比でも広義の濃度を表現することができる。以下では、それらのうち溶液における濃度としてよく用いられる量を取り上げる。
数濃度:単位体積の溶液あたりに含まれる溶質の個数。単位には
質量分率(質量パーセント濃度):単位質量の溶液あたりに含まれる溶質の質量。百分率
体積分率:単位体積の溶液あたりに含まれる溶質の体積。百分率
質量モル濃度:単位質量の溶媒あたりに含まれる溶質の個数。単位には
溶媒の種類
極性溶媒:極性分子からなる溶媒 プロトン性極性溶媒:極性溶媒のうち、プロトンを供与しうる溶媒 例) 水
溶質の種類
一般に、極性分子やイオンは極性溶媒に溶けやすく非極性溶媒に溶けにくい。非極性分子は非極性溶媒に溶けやすく極性溶媒に溶けにくい。物質の溶解のしやすさは、その物質に分極の大きい結合が含まれるか否か、つまりその物質を構成する結合にイオン結合性が高い結合が含まれるか否かによって概ね決まる。 例)
溶解
極性溶媒への非極性分子の溶解、非極性溶媒への極性分子やイオンの溶解においては、エントロピー変化は正である一方で、前者では極性溶媒同士の相互作用が無極性分子によって弱められ、後者では極性分子やイオン同士の相互作用が非極性溶媒によって弱められることにより、エンタルピー変化は多くの場合大きな正の値となる。よって多くの場合、ギブズエネルギー変化は正となってこの反応は自発的に進行しない。つまり、一般には溶解しにくい。
極性溶媒への極性分子やイオンの溶解においては、溶質の正/負電荷(陽/陰イオンや極性分子の正/負電荷を帯びた部分)に対し、極性溶媒の負/正電荷が相互作用する。これを溶媒和という。溶媒が水の場合は特に水和と呼ぶ。溶媒和によるエンタルピー変化は負とは限らないが、正であっても一般には上の場合ほどの大きさではない。エントロピー変化は正なので、エンタルピー変化が負のとき反応は自発的に進行するし、エンタルピー変化が正であってもギブズエネルギー変化が負となって反応が自発的に進行する場合も少なくない。つまり、溶解しにくいものもあるが、一般には溶解しやすい。
非極性溶媒への非極性分子の溶解においては、非極性分子同士の相互作用の大きさは極性分子同士のそれに比べて小さいため、エンタルピー変化の大きさも小さい。エントロピー変化は正なので、これがエンタルピー変化の大きさよりも大きく、ギブズエネルギーが負となって反応が自発的に進行する。つまり、一般には溶解しやすい。
こうした溶解反応におけるエンタルピー変化を溶解エンタルピーと呼ぶ。特に水への溶解においては、これを水和エンタルピーと呼ぶこともある。
溶解平衡
溶媒に溶質を加えて静置すると、有限の時間の間に、マクロに見て変化しない状態となる。この状態を溶解平衡と呼ぶ。溶解平衡においては、ミクロには溶質が溶解する反応の速さとその逆反応の速さが等しくなっている。
溶解平衡に達したときに溶質が溶け切らずに残るとき、飽和である、または飽和しているといい、その時の溶液を飽和溶液と呼ぶ。逆に溶質が溶け切っているとき、不飽和である、または飽和していないといい、その時の溶液を不飽和溶液と呼ぶ。