脂肪酸

脂肪酸とは、鎖状の炭化水素基に1つのカルボキシ基がついた物質である。炭素数4-30の天然の脂質から得られるものを天然脂肪酸、そうでないものを合成脂肪酸と呼ぶ。また炭素数12以上のものを長鎖脂肪酸と呼ぶ。長鎖脂肪酸の長い炭化水素鎖は疎水性であって、その形状と性質から、カルボキシ基の部分を頭部や親水性頭部、炭化水素鎖の部分を尾部や疎水性尾部と呼ぶ。生物において単に脂肪酸といったときは少なくとも天然脂肪酸、特に長鎖脂肪酸を指すことが多い。今後文脈で分かるときはこの意味で単に脂肪酸という。

生物では生体膜の材料であるリン脂質や、トリアシルグリセロールなどに含まれる。

炭化水素鎖中に不飽和結合(二重結合や三重結合)を持つものを不飽和脂肪酸、持たないものを飽和脂肪酸という。ただし、生体内で見られる不飽和脂肪酸の不飽和結合は、そのほとんどが二重結合である。なぜなら、三重結合は反応性が高いため水などが付加しやすく、また生体内で脂肪酸を合成する酵素は二重結合を作るものだからである。

飽和脂肪酸は直線構造だが、天然に多い不飽和脂肪酸は、その二重結合が主にシス型であるため、その位置で折れ曲がった構造となる。これにより凝固点が比較的低く、常温で液体であることが多い。

脂質

脂質は水に不溶で無極性溶媒に可溶な生物由来の物質の総称である。脂肪酸やステロール類などから構成され、その機能は様々である。その一部を以下に紹介する。

トリアシルグリセロール(トリグリセリド):グリセロールに脂肪酸3つが結合した物質である。脂肪酸は非常に多くのエネルギーを持つためエネルギーの貯蔵物質となり、一般にトリアシルグリセロール(脂肪や油)の形で体に蓄えられる。

リン脂質:生体膜の成分。トリアシルグリセロールのうちの1つの脂肪酸がリン酸に置き換わった構造をしている。脂肪酸は疎水性であり、リン酸は親水性であるため、リン脂質は両親媒性分子(界面活性剤)である。

ステロイド:生物ではホルモン(シグナル分子)などとして働く。ステロール由来の多環構造を持つ。コレステロールやテストステロンなど。