元素の性質は電子配置によって決まる。そのため各元素の性質の類似や相違は電子配置の類似や相違に起因する。よって電子配置の規則から、原子番号の増加に伴って性質の類似した元素が周期的に現れる。これを周期律という。

そこで、電子配置の規則に従って性質の類似した元素が縦に並ぶように整理した、元素を原子番号順に並べた表を周期表という。

左上から右下にかけて原子番号順に並べられている。縦一列に並んだ元素の集合を族、横一列に並んだ元素の集合を周期と呼ぶ。

周期表の各元素の欄には原子番号・元素記号・元素名が記され、加えて原子量やその他様々な性質も載っていることがある。

元素のブロック

最高エネルギー準位にある電子がどの種類の副殻に属するかで元素の性質と電子配置の対応を大まかに捉えることができる。そこで、こうした分類を周期表上に表現したものを元素のブロックと呼ぶ。

ブロック元素のうち第6周期のものをランタノイド、第7周期のものをアクチノイドと呼ぶ。

以下では、各元素の化学的性質のうち主に観察される性質による分類を見る。

典型元素・遷移元素・内部遷移元素

ブロックやブロックでは最外殻よりもより小さな主量子数を持つ内側の軌道が満たされていく。このうち内側の不完全に満たされた副殻を持つ元素は共通した特徴的な性質を持つ。

そこで、このように内側の不完全に満たされた副殻を持たない第1,2,12-18族元素を典型元素、不完全に満たされたd副殻を持つ元素を遷移元素、さらに内側の不完全に満たされたf副殻を持つ元素を内部遷移元素と呼ぶ。

典型元素では周期表の縦にあるもの同士すなわち同族元素が似た性質を持つ一方で、遷移元素や内部遷移元素ではむしろ隣同士で似た性質を持つという対照的な特徴がある。これは典型元素では族ごとに共通の価電子数を持つ一方で、遷移元素や内部遷移元素では最外殻ではなく内部が満たされていくために、隣同士で同じ価電子数を持ちやすく、また族ごとに共通の価電子数になるとは限らないためである。

金属元素・半金属元素・非金属元素

単体が金属としての性質を持つ元素を金属元素、そうでない元素を非金属元素、中間的な性質を持つものを半金属元素と呼ぶ。ただしここでは、限定的・極限的な状況における性質は考えない。周期表では、左側が金属元素(ただし水素は非金属元素と分類する)、右側が非金属元素、これらの境(この境界は明確でない)となる13-16族あたりの斜めの領域(の一部)が半金属元素となっている。

半金属に分類される元素は、一般的にホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルルの6つである。セレン、ポロニウム、アスタチンを含める場合もあり、厳密な定義があるわけではない。

以下では、各族の大まかな性質を見る。

第1族元素

水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム

1族の水素以外の元素をアルカリ金属と呼ぶ。アルカリ金属は金属の中では密度が小さく、軟らかく、融点が低い性質がある。これは最外殻電子の有効核電荷が他の族の原子に比べて小さいため、自由電子が感じる静電引力が弱く、金属結合が弱い≒原子間距離が大きいためである。また、価電子数が1であるので、1価の陽イオンになりやすい。

第2族元素

ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム

ベリリウム, マグネシウムとその他の元素は少し異なった性質を見せる。そこでを除く第2族元素をアルカリ土類金属と呼ぶ。酸化物は水に溶けにくく、熱にも強い性質を示すので、「土類」と呼ぶ。価電子数が2であるので、2価の陽イオンになりやすい。

第3族元素

スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、アクチノイド

第4族元素

チタン、ジルコニウム、ハフニウム

第5族元素

バナジウム、ニオブ、タンタル

第6族元素

クロム、モリブデン、タングステン

第7族元素

マンガン、テクネチウム、レニウム

第8-10族元素

鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金

これらは長周期の族(第8/9/10族)で区分するよりも、第4周期と第5-6周期とに区分したほうが化学的性質が似通っている。それ故、第4周期の鉄、コバルト、ニッケルを鉄族元素、第5-6周期・第8-10族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)を白金族元素と呼ぶ。

は最も安定な(核結合エネルギーが最も大きい)原子核であり、がこれに次ぐ。または核子1個当たりの質量が最も小さい。

オスミウムは全元素中で最も高い密度を持つ。

第11族元素

、銀、金

11族は銅族、あるいはその単体が貨幣の原料として使われることから貨幣金属と呼ばれることがある。展性や延性に富んだ柔らかい金属で、電気伝導度・熱伝導度が高い。また貴金属性が高い(反応性が低い、すなわちイオンになりづらく化合物を作りづらい)。

第12族元素

亜鉛、カドミウム、水銀

亜鉛族と呼ばれる。電子の入った軌道の中で最もエネルギーの高いのはd副殻であるが、これが完全に埋まっているため、遷移元素に含めない立場と含める立場とがある。不完全に満たされたd副殻を持つことを遷移元素の定義として重要視するのが前者の立場である。このページではdブロック元素であり遷移元素ではないという扱いにしている。他の金属と比較して毒性が高い。

第13族元素

ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム

ホウ素族と呼ばれる。, は空軌道を持つため、その化合物はルイス酸になりやすい。は金属元素であり、価電子数が3であるから、3価の陽イオンになりやすい。一方、は非金属元素であり、不対電子を3つもつため、結合手3本で共有結合を作りやすい。

第14族元素

炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛

ケイ素、ゲルマニウム、スズは半導体に用いられる。価電子数は4である。,はともに+2,+4の酸化数をとるという共通点をもつ。,は非金属元素であり、不対電子を4つ持つため、結合手4本で共有結合を作りやすい。

第15族元素

窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス

窒素族と呼ばれる。価電子数は5である。,は非共有電子対を持つため、その化合物はルイス塩基になりやすい。,は不対電子を3つ持つため、結合手3本の共有結合を作りやすい。軌道が関与することで5価になりうる。

第16族元素

酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム

酸素族、カルコゲン(英:chalcogen)と呼ばれる。,は価電子数が6であるので、2価の陰イオンになりやすい。,は不対電子を2つ持つため、結合手2本の共有結合を作りやすい。軌道が関与することで6価になりうる。

第17族元素

フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン

ハロゲンと呼ばれる。反応性が大きい元素が集まる。価電子数は7であるので、1価の陰イオンになりやすい。不対電子を1つ持つため、結合手1本の共有結合を作りやすい。臭素は常温で液体という、珍しい元素である。

第18族元素

ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン

貴ガス(英:noble gas)と呼ばれる。希(稀)ガス(英:rare gas)(まれな、珍しい気体の意)と表記されることもあるが、これは化学的な分離・抽出が困難であった時代の命名であって、現代的ではない。実際、は地球大気に個数比で3番目に多く含まれており、二酸化炭素の30倍ほど多いことからすれば、まれな気体というのは正確でない。

最外殻が閉殻の状態であるため、反応性が非常に低く、通常は単原子分子として存在している。しかし全く化合物を作らないわけではなく、例えばキセノンは最外殻の軌道が原子核との距離があるため比較的イオン化しやすく、酸化物やフッ化物を作ることが知られている。他にもなどが知られている。

未知の元素の合成

94番までの元素は天然に存在することが発見されている(93,94番は人工合成後に天然にも微量存在することが発見された)。では、それより大きな原子番号の元素はどのように発見された/するのだろうか? 天然に見つからないならば、人工的に作るしかない。実際に、粒子同士(原子核と中性子、原子核と原子核など)を高速でぶつけることでより重い元素を合成できる。この粒子を加速して衝突させ、新たな粒子とそれら同士の反応を観測する装置を加速器と呼ぶ。加速器による様々な試みによって、2024年現在、118番オガネソンまでが見つかっている。

周期表の歴史

1869年にドミトリ·メンデレーエフによって提案された表が最初の周期表である。その表は当時発見されていた63の元素を、原子量が大きい順に上から下へ、また性質の似たものが隣合うように改行して左から右へと2次元に並べたものであった。原子番号すなわち陽子数の順でないなど改良点もあったものの、アルミニウムとケイ素の右(今の一般的な周期表でいう下)の空欄には未発見の元素が入るはずだと考え、アルミニウムとケイ素の性質からの類推により具体的な性質(融点や密度など)を予想した。その後実際にこれらに対応するガリウムとゲルマニウムが発見され、驚くべきことに予想された性質はよく当たっていた。これら一連の提案と発見は、周期律の発見、その分かりやすい可視化、周期律の重要性の示唆といった点で非常に画期的なものであった。

その後、メンデレーエフが2番目に発表した周期表では縦向きから横向きになった。これに貴ガス・ランタノイド・アクチノイドなどを加えて、I族からVIII族まで、IからVIIまではAとBの亜族がある短周期型周期表ができ、1990年ごろまで使われた。そして1-18族に整理された長周期型周期表が徐々に主流となり、現在ではこれが使われている。

周期表のこれから

現在用いられている周期表は完成しているわけではなく、その並べ方についても決定版ではない。まずどこまで大きな原子番号の元素が存在しうるか、様々な予想は立てられているが結論は得られていない。また119番以降の元素の発見が進むと、ブロック元素が見つかると期待されるが、相対論効果が大きくなることや軌道同士のエネルギー準位が近づくことなどから、小さな原子番号と同じような方法で並べられるとは限らない。そのためブロック元素以降を含めた周期表における元素の並び方についても、様々な提案はなされているが結論は得られていない。