準同型定理

定理 1 (準同型定理). を群からへの群準同型とする. の正規部分群として, を自然な射影とする. このとき準同型写像となるもの, すなわち以下の図式を可換にするものが一意的に存在する.

準同型定理の可換図式

さらには同型写像である. つまり次の群の同型が成り立つ.

証明. 写像で定める.

まずがwell-definedであることを示す. つまりが代表元の選び方によらず定まることを示す. と仮定する. このときなので. よってが分かる. すると

なので代表元の選び方によらずの行先は定まる. が準同型であることはに対し

からわかる. また, を, を満たす任意の準同型写像とする. 任意の に対して, 条件より

が成り立つ. であるから, が一意的に定まることが示された.

次にが全単射であることを示す.

と仮定するとであり, このことから

なので, つまりなのでが単射であることが分かる. 全射であることは任意のに対して

とできることから分かる. ◻

特にとすると, 同型

が成り立ち, この形で定理を適用することが多い. これは第一同型定理と呼ばれる.

準同型定理は群の同型を与える上で非常に有用な定理である. 次の例は準同型定理を用いて同型を与える例である.

同型定理

準同型定理を用いると準同型写像から同型写像を得ることができる. 以下の同型定理は準同型定理から導かれる代表的な定理である.

定理 2 (第二同型定理). を群としてとする. を満たすとき同型

を与える同型写像が存在する.

証明. まずであることから, 任意のに対してが成り立つ. よってが成り立つので[部分群の定義:命題 10]よりの部分群である.

さらにの正規部分群であることを示すことでが定義されることを確かめる. をとる. このとき

である. ここで仮定よりなのでが成り立つ. なのでである. よってが分かる.

次に写像で定める. このときは準同型写像である. 実際, に対して

が成り立つ. 準同型定理([準同型定理:定理 1])より次の同型が成り立つ.

の任意の元はと表されるのでとなるからは全射である. よってである. 次にを求める.

以上より同型

が示された. ◻

特に, のとき, であって

が成り立ち, この形で定理を適用することが多い.

定理 3 (第三同型定理). を群としてかつとする. このとき同型

を与える同型写像が存在する.

証明. 写像を次のように定めることができる.

まずこの対応がwell-definedであることを示す. とするとであるから. すなわちより示された. または全射準同型であるからである. さらに

であるのでに対して準同型定理([準同型定理:定理 1])を適用すればが誘導する同型写像

が得られる. ◻