例 1 (自明な群). 一点集合は演算により群をなす. 単位元はで, の逆元もである. これを自明群, 自明な群(trivial group)という.
例 2. は加法に関して群をなす. 単位元はで, の逆元はである. 同様にしても加法に関して群をなす. この群はアーベル群かつ無限群である. 一方では加法に関して結合法則は成り立つが単位元が存在しないので群ではない.
例 3. は乗法に関して群をなす. 単位元はで, の逆元はである. この群はアーベル群かつ無限群である. 一方では乗法によってモノイドであるが群にならない. これはの逆元が内に存在しないからである.
例 4. もちろん, 集合として同じでも異なる演算が入っている群を作ることが可能である. 上の二項演算を
と定義すれば結合法則が成り立ち, 単位元は, の逆元はである.
例 5 (対称群). 集合からそれ自身への全単射全体は写像の合成を演算として群をなす. 単位元は恒等写像である. この群をで表し次対称群(symmetric group)という. を次のように表す.
例えばがとなる全単射であるときは
と表す. は位数の有限群でのとき非アーベル群である.
例 6 (一般線形群). 体上の可逆な行列全体は行列の乗法によって群をなす. 単位元は単位行列で, の逆元は逆行列である. この群を一般線形群(general linear group)という. 行列の積は一般に可換ではないため, 一般線形群は非アーベル群である.
例 7 (乗法群). モノイドにおいては逆元が存在するとは限らない. に対しが存在して
となるを可逆元(invertible element), 単元(unit)という. の可逆元全体はモノイドの演算によって群をなし, これをとかき乗法群(multiplicative group), 単元群(group of units)という. 特にはいずれも乗法に関してモノイドをなし, その乗法群はそれぞれ
であり, これらは演算を省略して単になどと書かれることが多い.
例 8 (二面体群). 正角形とその中心Oを考える. この正角形は次の操作によって不変である.
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Oを中心とした(ただし)の個の回転.
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正角形の本の対称軸を中心とした鏡映.
正角形の対称軸は具体的には次の本である. が奇数の場合, 正角形の頂点とそれと向かい合う辺の中点を結ぶ直線. が偶数の場合, 向かい合う2つの頂点を結ぶ直線が本と, 向かい合う2つの辺の中点を結ぶ直線が本の合計本の直線.
以上の回転と鏡映の操作の集合をとしたとき, は操作の合成を演算として群となる. これを二面体群(dihedral group)という. の回転が二面体群の単位元である. は位数の有限群でのとき非アーベル群である.
参考文献
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