分散媒が液体であるコロイド分散系をコロイド溶液と呼ぶ。ここではコロイド分散系の中でも特にコロイド溶液に特徴的な分類や現象について扱う。
親液コロイド・疎液コロイド
コロイド溶液において、分散質の分散媒に対する親和性の大きいものを親液コロイド、小さいものを疎液コロイドと呼ぶ。分散媒が水の場合は特にそれぞれ親水コロイド、小さいものを疎水コロイドという。
親液コロイドはコロイド粒子が分散媒に取り囲まれて溶媒和されることで安定化し、分散している。分子コロイドとミセルコロイドは基本的に親液コロイドである。
疎液コロイドはコロイド粒子同士がそれぞれの表面の同符号の電荷によって反発し、分散している。溶媒和による安定化がないため、親液コロイドより比較的不安定である。分散コロイドの多くは疎液コロイドである。
塩析・凝析
コロイド溶液のうち特に分散媒が極性溶媒であるものは、電解質を加えることで基本的に不安定化する。これを利用することでコロイドを沈殿させ取り出すことができる。親液コロイドと疎液コロイドとでは、安定化の度合いと要因が異なることに伴ってその方法も異なる。
親液コロイドにおいてコロイド粒子は分散媒によって溶媒和されている。ここに加えた電解質も溶媒和されるが、これによってコロイド粒子を囲む分散媒を十分に剥ぎ取るには比較的多量の電解質を加える必要がある。この操作を塩析という。
疎水コロイドは互いの同符号の電荷によって反発しており、その安定化の度合いは小さい。ここに電解質を加えると、コロイド粒子表面の電気二重層の厚みを減少させ、コロイド粒子同士の反発力が弱まる。このためには比較的少量の電解質を加えるだけで良い。この操作を凝析という。
正コロイド・負コロイド
コロイド粒子の表面はイオンの吸着など様々な要因により正や負に帯電することがある。これは疎水コロイドを効率よく凝析させる電解質を選ぶときなどに特に重要である。
コロイド粒子の表面電荷を知る方法の一つとして、コロイド溶液を四角形の皿に入れて皿の両端に電極を差して電圧をかけ、粒子の移動方向とその大きさを見る方法がある。正コロイドなら陰極側へ、負コロイドなら陽極側へ粒子が移動する。この現象を電気泳動という。方法のことは電気泳動法ともいう。
疎水コロイドの保護
疎水コロイドに親液性の物質を十分量加えると、それが疎液コロイド粒子を覆うことで全体として親液コロイドとして振る舞って安定化し、少量の電解質を加えても凝析が起こらなくなる。これを保護作用という。加えるものが親液コロイドであるとき、これを特に保護コロイドという。墨汁に含まれる膠(にかわ)がその例である。
透析
コロイド粒子は粒径が大きいため、半透膜を透過しない。そのため、半透膜を利用してコロイド溶液を精製することができる。 例えば、沸騰水に少量の塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると、次のような加水分解反応が起こり、赤褐色の水酸化鉄(Ⅲ)コロイド溶液が得られる。
このように沸騰水に塩化鉄水溶液を加えると、水に不溶の水酸化鉄の結晶核を生じるが、反応が急激に進むために、水酸化鉄の結晶核が周りの水酸化鉄を取り込むことができず、コロイド粒子の大きさで止まったまま液中に分散する。 このようにして得たコロイド溶液をセロハン(半透膜)で袋状に包んで水中に浸すと、セロハンを通じて