Schurの補題
補題 1 (Schurの補題). をの既約表現とする. を準同型とするとは零写像か同型写像である.
証明. まずの核を考えるとは不変部分空間であるからは既約表現なのでに限られる. のときは零写像である. 次にとするとは単射. の像を考えるとは不変部分空間である. は既約表現なのでとなるがなのですなわちは全射. 以上よりは零写像か同型写像である. ◻
既約表現上の自己準同型写像
補題 2 (Schurの補題(Strong ver)). を代数閉体上の有限次元線形空間での既約表現とする. を準同型写像とすると, あるが存在して次のように書ける.
つまりである.
証明. は有限次元なので線形写像は最小多項式をもち, は代数閉体なので最小多項式は内に根をもつ. よっては固有値とでない固有ベクトルをもつ. このときである. また, は準同型となるからSchurの補題([Schurの補題:補題 1])よりは零写像か同型写像である. ここでなので. よっては単射ではないため同型写像になり得ない. よってすなわち. ◻
系 3 (実線型空間の既約表現上の自己準同型写像). を上の有限次元線形空間での既約表現とする. を準同型とすると
である.
証明. が有限次元線型空間なのでは有限次元線型空間である. [G準同型写像と表現の同値:命題 2]より準同型写像の合成は準同型写像なのでは写像の合成を積とした環である. , とするとが線形写像であることから
が成り立つ. つまりは上の多元環である. さらにで零写像でないとすると, が既約表現であるからSchurの補題([Schurの補題:補題 1])よりは同型写像であるから, は逆元を持つ. よっては上の可除多元環である. Frobeniusの定理より上の可除多元環はのいずれかに同型なのでである. ◻
[Schurの補題:補題 2]ではが既約表現であることを仮定して, 上の自己準同型の構造を明らかにした. 限られた場合のみ, この逆が成立する.
命題 4. を代数閉体上の有限次元線形空間での表現とする. とするとき次が成り立つ.
証明.
- が有限群であるとする. Maschkeの定理よりをの不変部分空間としてとできる. ここでからへの射影を考え, それをに埋め込む写像との合成写像を考える. このときは準同型写像である. 任意のに対し, が不変部分空間であることからとなるので
である. よって仮定よりあるが存在してとかける. このとき
となるがであることからでないといけない. よってかつ, つまりは既約.
なので任意のに対しては準同型写像. 仮定よりの基底としてが取れるため, あるでとかける. このときが成り立つ. これはに対し
となることから従う. 以上よりなので. 一次元表現はすべて既約であることからは既約.
◻
例 5. [Schurの補題:命題 4]についてが非可換無限群の場合はでもが既約表現とならないことが以下の例から分かる.
の部分群を
と定めて, 次のの上の表現を考える.
この表現についてであるが可約表現である. 任意のに対しの行列表示について
を満たす. の条件は成分計算をすることによりかつ, すなわちあるでとなることである. つまりである. 一方, の不変部分空間として
をとることができるので既約ではない.
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